EOS R6, RF50mm F1.2 L USM F1.2, 1/200, ISO12800 Adobe AI NR
20時頃、雨が弱まるタイミングを見計らい、空港に向かった。時折激しい雨が降るものの、視程は徐々に回復している。風は150°から26ノットで、使用滑走路はRWY14だ。進入灯台が回転し、雨を照らす幾つもの光が、787の到着を待ち構える。
ANA569便は、土佐湾から高知市上空に入り、関西アプローチから高知タワーにハンドオフされた。地上からは全く見えないが、確実に空港に近づいている。無線から聞こえるパイロットと管制官の声は、いつも通り冷静だ。RNP Y RWY14アプローチの航路を、正確にトレースして右旋回している。そして、雲の中から小さな光が現れた。
コックピットからも、滑走路が見えたに違いない。光は徐々に大きくなり、存在感を増してゆく。思いのほか冷静にシャッターボタンを押した。そして逆噴射の音が響き、無事に着陸した事が分かった。最後の交信が終わり、労いの言葉を掛け合うパイロットと管制官。台風の長い1日が、幕を下ろした瞬間である。