松山の夜に咲く黄金の花
明日への願いをのせて
EOS R5, RF70-200mm F2.8 L IS USM F8, 14s, ISO200 ND filter
2023年、4年ぶりの通常開催となった三津浜花火大会は、約23万人の観客で賑わった。戦後間もない、1951年に始まった花火大会は、今年で71回目。松山の人々の想いが詰まった花火大会が、来年も、そしていつまでも続く事を、願わずにはいられない。
そして、会場から約4km離れ、飛行機と花火の究極の1枚を狙う我々にも、一つのドラマがあった事を付け加えておきたい。
それは、花火と絡む可能性のある大本命、ANA599便が、約10分遅れで羽田を出発した事から始まった。
21時で終了する花火大会に対して、599便の松山到着は定刻20時50分。仮に10分遅れて到着すると、花火と撮影する事が出来ないのである。
離陸後、順調に飛行したBoeing787 JA816Aは、なんと予想よりも早く、20時52分に松山空港RWY14に着陸した。そして、20時56分頃スポットにて完全停止し、約4分間、花火と787を撮影する事が叶った。通常より短い飛行時間は、運行に携わる方々の「苦労の賜物」に違いない。到着後、息つく暇も無く始まったグランドフィナーレは、松山の夜空を黄金に染め上げた。
青の世界に包まれて
朝の伊予灘をゆく
EOS R5, RF24-70mm F2.8 L IS USM  F8, 1/1000, ISO200
午前8時30分、東京からのANA583便が到着した。日中の猛暑に比べれば、朝はいくらか過ごし易い。優しい青空と、それを支える穏やかな瀬戸内海が心地良い。
EOS R5, RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM F6.3, 1/500, ISO320
山の上から眺めると、街と空港が、長年に渡って共生してきたことを実感する。この周辺は、空港が造られるより遥か昔から、海の港として松山の玄関口であり続けてきた。明治維新後、日本の開花期を支え、小説「坂の上の雲」の主人公にもなった、秋山真之、正岡子規も、ここから旅に出たと思うと感慨深い。
夕闇迫る松山空港
"78G "が舞い降りる
今夏、松山空港を訪れた目的の一つが、ANA595/598便に投入された「78G」を撮影する事である。「78G」とは、2021年12月より運航を開始した、787の新仕様機の通称である。胴体の長い787-9に、これまでのロールスロイス社製 に代えて、新たにゼネラル・エレクトリック社製 、GEnxエンジンを搭載しているのが特徴だ。ANAの787の中では少数派であり、エンジンカウルの丸いGEマークが、見た目にも異彩を放っている。これまでは、羽田空港を中心に、那覇、福岡、伊丹、新千歳等の国内幹線を中心に投入されてきた。
2023年に入り、「78G」は徐々に活躍の場を広げている。松山空港には4月17日の初飛来を皮切りに、8月中には恒常的に投入された。GEマークを付けた「78G」は、ここでは新鮮な被写体なのである。
EOS R5, RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM F8, 1/500, ISO1250
この日最後の淡い光が、「78G」の機体全体を包み込んだ。撮影終了後、心地よい風が、山の上を通り過ぎていった。
EOS R5, RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM F8, 5s, ISO500
以前は比較的簡単に撮影出来た、工場夜景とプッシュバック。工場をバックに機体を横から撮影するには、RWY32に向けてプッシュバックし、更にパイロットが「ショートプッシュバック」を管制にリクエストする必要がある。ここ数年は、RWY14からの離陸も増え、更にプッシュバックの方式も「ショート」「ノーマル」「ロング」を状況に応じて使い分ける等、確率はかなり下がっている。今回は、普段より少し長めの、レアなショートプッシュバックを「78G」で撮影する事が出来た。