EOS R5, RF70-200mm F2.8 L IS USM F8, 1/1000, ISO320
土佐の山々に夕陽が沈む頃、ANA567便がRWY32に着陸した。空港西側にある南国市前浜は、平安時代の貴族、紀貫之が4年間の国司の赴任を終え、都に帰る際に立ち寄った場所。この旅は、太平洋から紀伊水道を抜け、都に至るまで、55日間の長い船旅であった。旅で起きた出来事を記した、「土佐日記」は、日本最古のかな書き日記として、現代に知られている。
まことにて名に聞くところ羽ならば飛ぶがごとくにみやこへもがな
(ここの地名の羽根が本当の烏の羽ならば、その羽に乗って、恋しい都へ早く飛んで帰りたい)
前浜を出発した紀貫之たち一行が、室戸岬の少し手前にある「羽根岬」にて読んだ歌。千年の時を経て、高知から伊丹まで、たった45分のフライトで結ばれている事は、非常に感慨深い。