EOS R5, RF24-70mm F2.8 L IS USM  F8, 1/1000, ISO640
空を覆っていた雲が途切れ、束の間の青空が広がった。そこへ鹿児島での大役を終え、羽田へフェリーされるA350が、丁度準備を整えてタキシングして行く。お膳立てされたかの様な展開に、興奮を抑えるのは難しい。その後離陸滑走を始める頃には、太陽の光は雲に遮られ、元の曇り空に戻りつつあった。​​​​​​​
梅雨入り直後の鹿児島   
A350が舞い降りる
JALのエアバスA350は、ボーイング777に替わる新しいフラグシップとして、2019年に導入が開始された。それまでのボーイング一辺倒の機材構成からの大転換に、誰もが驚いた事だろう。その後導入は一気に進み、国内での「ワイドボディ機=ボーイング」という常識はあっけなく崩壊した。主翼からそり上がる赤いウィングレットは、空港内で一際目を引く存在となり、特徴的なコックピットの「アイブラック」塗装も独特だ。性能面では、炭素繊維複合材による軽量化と、新型エンジン「ロールスロイス Trent XWB」により、在来機に比べて約25%の燃費向上を実現している。
国内線での就航先は、羽田を中心に、新千歳、伊丹、福岡、那覇に限られる。機体の大きさや、機内装備の充実ぶりから、高需要路線に集中して投入しているのだろう。しかし欲を言えば、この魅力的な飛行機を、様々な空港で、その土地の風土と共に撮影したい。特に周囲に自然溢れる空港や、四季を感じられる空港が好いだろう。
2022年6月12日、ついにチャンスがやって来た。鹿児島空港の開港50周年を祝い、A350による遊覧飛行チャーターが運行されたのである。この機会を逃す訳にはいかない。梅雨入り直後の鹿児島で、どんな作品が撮れるだろうか。
EOS R6, RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM  F6.3, 1/1000, ISO100
羽田からフェリーされ、遊覧飛行に向けて準備を進めるA350。今回使用された機体はA350導入2号機となる、JA02XJである。今回の運行では、出発・到着共に国際線ターミナルが使用され、参加者向けに様々なイベントが実施されていた。午前中は比較的晴れており、青空に雲が浮かぶ気持ちの良い天気であった。
EOS R5, RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM  F8, 1/640, ISO400
15時57分 遊覧飛行の着陸を空港北西の高台から狙う。
昼前から南寄りの風が吹き、RWY16にランウェイチェンジ。同時に雲も広がり始め、遊覧飛行の離着陸時は曇り空になった。
着陸では白い空を極力入れない事と、鹿児島空港らしさを出す事を意識し、高台からの撮影を選択した。
余談だが、チャーター便の便名はJL3153で「西郷さん」である。
EOS R6, RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM  F6.3, 1/1000, ISO200
17時14分 遊覧飛行の到着から約1時間後、羽田へのフェリーフライトが行われた。
夕方になり陽炎の影響が軽減され、機体全体がしっかり解像してくれた。余計な建物の無い自然な背景が、A350のフェイスラインを際立たせる。
あとがき
今回は、鹿児島空港A350のチャーターフライトの撮影記でした。
どこかのタイミングでご紹介しようと思っていたのですが、後回しになり、1年経ってしまいました。
思い返せば、当時は未だコロナ禍の印象が強く、撮影に来ている人も殆どが地元の方で、遠征組は少なく感じました。
またどこかの空港で、A350のチャーター便を期待しています。個人的には熊本や長崎で見てみたいですね。
写真は遊覧飛行出発時のタキシング。24mm一杯の迫力の真横ショットですが、生憎の曇り空でした。